木漏れ日の影

妊娠へつながったヒント

-未来のあなたより-

「医師だからこそ伝えたい ― 不妊治療で本当に大切だと感じた二つのこと」

卒業生からいただいたメッセージ

卒業生からのメッセージ

現在も不妊治療に取り組まれている皆さん(特に旦那さん)に、医師である私達夫婦が悩んできた治療の中で気づいたことをお話しさせていただきます。
私達夫婦は、結婚当時、妻27歳(私は30歳でした)でした。結婚後すぐに不妊治療を開始しました。
理由としては、妻に不妊因子(多嚢胞性卵巣症候群)があったこと、多くの女性は妊娠しにくくなる前に妊娠・出産することを希望していたからです。
受診後の検査で、私にも不妊因子と考えられることがわかりました。2人とも比較的若く、早期から検査を開始したので、すぐに妊娠するだろうと期待を抱いていましたが、結局最も妊娠率が高いと言われる顕微授精まで進むことになってしまいました。
富山先生の下で治療する中で、わかったことを2つ挙げます。
① 夫婦でも十分知るということ
皆さんにとって当たり前であるかもしれませんが、私は出来ていなかったと思います。
「女性の問題は男性には分からない」と一般的に言われますが、実際の不妊治療で受けるストレスは、肉体的には女性ですが、妻を支え続けるストレス、特別という訳ではない細かな精神的ストレス、家族の協力が得られないことによる精神的ストレスなどです。
もちろん男性側にも通院や経済的ストレス、いつまで治療を続ければ良いのかという不安もありますが、実際に知らないといけないのは妻の状態です。
私は、妻が服用する薬や注射を一緒に確認したり、妻と並んで診察を受けたり、受診には出来るだけ一緒に行くようにするなど、夫として出来ることを行うことが大切だと思いました。
② 医療を十分に信頼し、継続すること
そうは言っても、私は当初、妻の年齢に合わせて必要な治療の選択肢を与えてくれる治療を望んでいました。
もちろん、石橋を叩きながら治療を進める方法もありますが、ある程度年齢を重ねていくと、それだけでも妊娠の可能性は低下していきます。
私は「原因が分かれば、その原因だけを治療すれば妊娠できる」と考えていました。
しかし実際にはそう単純ではありませんでした。
原因を一つずつ確認していくことも大事だと思いました。
私は当初、「血液検査は問題ありませんでしたが、内分泌異常があれば改善するかもしれない」「原因不明であっても原因は隠れているのではないか」と考えていました。
そのため、不妊治療を行っているクリニックと並行して、精索静脈瘤を専門とする施設でも診察を受けました。
30歳を過ぎ、精子の状態は改善していても、顕微授精を行う人工授精の成功率は決して高くありません。
一般的に精索静脈瘤は男性の15〜20%に認められ、治療によって約70%の方で精液所見の改善が期待されると報告されています。
精子の状態が少しでも悪いと診断されている旦那さんは、一度検査を受けてみてもよいかもしれません。
私達夫婦は治療を通して、富山先生をはじめ大阪New ARTクリニックのスタッフの皆様に本当に感謝しています。
皆さんの温かい笑顔があったからこそ、安心してクリニックへ通い続けることができました。
また、現在クリニックへ通院されているご夫婦の願いが成就することを心よりお祈りしています。

ご妊娠、そしてご卒業、誠におめでとうございます。
このたびは、医師という立場、そして患者様・ご主人という立場の両方から、大変貴重なメッセージをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
私は三十年以上、生殖医療に携わってきましたが、この体験談は患者様だけでなく、医療者にもぜひ読んでいただきたい内容だと感じました。
先生は医師として多くの患者様を診てこられた一方で、ご自身が不妊治療を受ける立場になり、初めて見えたこと、初めて感じたことを率直に書いてくださいました。
その中で、最も印象的だったのは、「夫婦でも十分知ること」
そして「医療を信頼して継続すること」
という二つのメッセージです。
不妊治療では、身体的な負担は女性に集中します。
採卵、注射、薬の服用、移植、妊娠判定…。
その一つひとつを経験するのは奥様です。
しかし、ご主人が書かれているように、男性にもまた別の苦しさがあります。
「何もしてあげられない。」
「妻を支えなければならない。」
「結果が出ない焦り。」
そうした精神的な負担を抱えながら、それでも前を向いて歩き続けることは決して簡単ではありません。
だからこそ、「夫婦がお互いの状況を知ること。」これが不妊治療では非常に重要になります。
診察を一緒に受けること。
薬や注射の内容を知ること。
検査結果を共有すること。
治療について一緒に考えること。
その積み重ねが、ご夫婦の支え合う力になっていくのだと思います。
また、今回の体験談では、男性不妊についても非常に分かりやすく書いてくださいました。
精液所見だけを見るのではなく、その背景にある原因まで調べること。
その結果、精索静脈瘤が見つかり、適切な治療によって精液所見が改善したこと。
これはまさに、私が日頃から大切にしている診療でもあります。
男性不妊は、「精液検査が悪い」という結果だけでは終わりません。
なぜ悪いのか。
改善できる原因があるのか。

そこまで診断し、一人ひとりに合わせた治療をご提案することが、生殖医療では非常に重要です。
さらに、先生が書かれた「原因が一つ分かれば、それだけで妊娠できるわけではない。」という言葉にも深く共感しました。
不妊治療は、一つの原因だけで説明できることは多くありません。
女性側の因子、男性側の因子、年齢、受精、胚発育、子宮環境…。
さまざまな要素を総合的に見ながら、その時に最善と思われる方法を選択していく医療です。
だからこそ、私は患者様へ「今、何が一番妊娠につながる可能性が高いのか」を常に考え、ご提案するよう心掛けています。
そして最後に、「現在クリニックへ通院されているご夫婦の願いが成就することを心より祈っています。」という温かいメッセージまで届けてくださり、本当にありがとうございました。
ご自身が経験された苦しさや葛藤があったからこそ、この言葉には大きな説得力があります。
これから治療を始めるご夫婦、そして現在治療中で不安を抱えているご夫婦にとって、大きな希望になることでしょう。
医師として、そして患者様として得られた貴重な経験を共有してくださったことに、改めて心より感謝申し上げます。
これからは、ご夫婦で待ち望まれた新しい命とともに、笑顔あふれる毎日をお過ごしください。
お子さまが健やかに成長され、ご家族皆さまが末永く幸せに過ごされますことを、スタッフ一同心よりお祈りしております。
このたびは本当にありがとうございました。そして、ご卒業おめでとうございます。