経子宮頚管子宮内移植法
IVF ( In Vitro Fertilization )
体外受精と聞くと、「最後の手段」「特別な治療」という印象を持たれる方も少なくありません。しかし現在では、体外受精は妊娠の可能性を広げる一般的な治療の一つです。
体外受精とは、卵巣から卵子を採取し(採卵)、体外で精子と受精させた後、育った受精卵(胚)を子宮へ戻す(胚移植)治療です。
現在では、不妊治療の中でも一般的な治療のひとつとなっており、
上記のようなさまざまな背景に対して行われています。
当院では、単に治療を進めるのではなく、これまでの治療経過や卵子・精子・胚の状態を総合的に考えながら、一人ひとりに合った方法を見極めています。
Methods Of In Vitro Fertilization
体外受精の流れ
Step.1
排卵誘発方法は、体外受精の成績に大きく影響する非常に大切な要素であり、体外受精の成果に大きく影響します。そのため、排卵誘発により多くの良好な卵を採取する事が最も重要であると考えています。
だからこそ、排卵誘発には知識や経験が必要であり、生殖医療専門医としての判断力が重要になると考えています。当院では、超音波検査や血液ホルモン検査で卵胞の育ち具合を確認し、採卵に適した時期を慎重に判断しています。
体外受精を実施する前周期の高温期7日目頃より点鼻薬を開始し、排卵を起こす脳下垂体からのシグナルであるLHサージを抑制することで自然排卵が起きないようにし、月経3日目より排卵誘発剤(HMG/FSH)投与を開始し、適切な卵胞発育に至るまで連日投与します。
月経開始2日目か、3日目より点鼻薬投与を開始し、同じく月経周期の3日目より排卵誘発剤(HMG/FSH)投与を開始し、適切な卵胞発育に至るまで連日投与します。
LHサージを抑えて自然排卵を防ぐため、hCG投与の2〜3日前からGnRHアンタゴニスト注射を使用します。必要に応じて、卵胞の発育をそろえる目的で前周期に経口避妊薬を使用することがあります。排卵誘発剤は同様に月経3日目よりHMG/FSHを開始し、適切な卵胞発育に至るまで連日投与します。
自然排卵周期は、卵巣機能が低下した方に実施することが多い方法です。投薬量が少ない為、卵巣やからだにかかる負担が軽くなりますが、卵胞が育たない場合や、排卵してしまうこともあります。
PPOS法は黄体ホルモン併用卵巣刺激法と呼ばれ、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で複数の卵胞を育てる際、自然排卵を防ぐために黄体ホルモンを使用する方法です。内服薬としてMPAやデュファストンなどを用います。
月経2日目より3日間、点鼻薬を使用します。月経3日目より排卵誘発剤(HMG/FSH)の注射を7〜10日連日投与します。
ロング法より長く点鼻薬を使用します。これによりFSH分泌を完全に抑制し、子宮内の炎症を抑えて着床環境を整える効果が期待されます。
Step.2
採卵とは、卵巣内で育った卵胞から、卵子を採取する処置です。所要時間は、採卵数にもよりますが、通常約3〜15分程度です。
採卵時の麻酔は局所麻酔で行う方法と、採卵数が多い場合は静脈麻酔で眠った状態に近い形で行う方法があります。
当院では、患者様のご希望や卵胞の数、痛みへの不安などを確認しながら、できるだけ負担の少ない方法を一緒に選んでいきます。
採卵できる卵子の数には個人差があり、1個の場合もあれば、20個以上採取できる場合もあります。一方で、卵胞が育っていても中に卵子が入っていない場合や、採卵前に自然排卵が起こってしまった場合には、採卵数が少なかったり採卵ができない可能性もあります。
採卵は、超音波で卵巣の位置を確認しながら、腟から細い針を進めて卵胞液を吸引し、その中に含まれる卵子を回収し、採取された卵子は、顕微鏡で成熟度などを確認します。
Step.3
採取した卵子と、調整した精子を培養液の中で一緒にし、受精を促します。この工程を「媒精」といいます。
提出していただいた精液は、特別な方法で良い精子を選別・調整します。
その後、調整した精子と採取した卵を、培養器内で一緒にし、再び培養器内に戻します。顕微授精をする場合もこの時に行います。
当院では、以下の受精の方法を行なっています。
| 方法 | 内容 | 検討されるケース |
|---|---|---|
| IVF 体外受精 | 精子と採卵で得られた卵子を培養液の中で一緒にし、自然に受精するのを待つ方法。体の中に近い環境で受精が行われるため、自然受精に最も近い方法。 | 精子の数や運動率に大きな問題がなく、自然な受精が期待できる場合。 |
| ICSI 顕微授精 | 1個の精子を非常に細いガラス針で吸い取り、卵子の中へ直接注入して受精を助ける方法。高い確率で受精が期待できる方法。 | 精子の数や運動率が低い場合や、通常のIVFで受精が難しいと考えられる場合。無精子症の場合で受精が可能となります。 |
Step.4
受精後から胚盤胞に至るまで
正常に受精した卵子は、細胞分裂を繰り返しながら、2細胞、4細胞、8細胞、さらに成長すると、それぞれの細胞が互いに密着し、compaction(コンパクション))という現象が起こり、桑の実のような形をした桑実胚(そうじつはい)へと発育していきます。さらに成長したものを胚盤胞といいます。その後発達が進むと、透明帯を脱出 (Hatching)し、着床へと至ります。
Step.5
分割胚とは、受精した卵は、細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。受精後、2〜3日目頃までの受精卵を「分割胚(ぶんかつはい)」といいます。分割胚は“成長途中の受精卵”です受精卵は、受精→2細胞→4細胞→8細胞というように、細胞分裂を繰り返しながら成長します。この時期の受精卵を「分割胚」と呼びます。
子宮内環境を優先し、分割胚の状態で子宮へ戻す方法を「分割胚移植」といいます。一般的には、受精後2日目または3日目に移植を行います。培養器の中よりも、子宮内の方が自然に近い環境であるという考え方もあることから、あえて早めに戻す方針を選択することもあります。
受精から約5〜6日目まで培養し、さらに発育した状態の受精卵を胚盤胞(はいばんほう)といいます。
受精卵は、受精から胚盤胞という過程を経て成長していきます。胚盤胞まで発育するということは、受精卵自身に一定の発育する力があることを意味します。自然妊娠では、受精卵は卵管内で発育しながら、数日かけて子宮へ移動し、胚盤胞の状態で着床します。そのため体外受精でも、より自然に近い状態で移植を行う目的で、胚盤胞培養を行うことがあります。
採卵後、受精した卵は1日目には2つの前核、2日目には2~4細胞、3日目には約8細胞に分裂していきます。4日目には細胞分裂した沢山の細胞が1つにまとまり、5~6日目には胚盤胞に発育します。培養後1~3日後に胚が2~8つに細胞分裂したものを「初期胚(分割期胚)」といいます。この初期胚の評価方法として「Veek分類」を用います。
胚の割球の形態とフラグメントの割合によってグレード1~グレード5まで、5段階に分類しています。フラグメントとは胚の発生過程で割球の細胞質が小さく断片化したもののことで、この割合が多いほど胚の質が悪くなります。
初期胚のグレード(4、8細胞期)
4細胞期
8細胞期
Grade 1
割球が均等
フラグメント 0%
妊娠率 30〜40%
Grade 2
割球が均等
フラグメント 10%
妊娠率 20〜30%
Grade 3
割球が不均等
フラグメント 25%
妊娠率 10〜20%
Grade 4
割球が不均等
フラグメント 50%
妊娠率 10%〜
Grade 5
割球が不均等
フラグメント≠100%
妊娠率 ≠0%
ガードナー(Gardner)分類とは、胚盤胞腔の広がりと孵化の程度によって1〜6の6段階のスコアをつけ、さらにスコア3以上の胚盤胞については、内部細胞塊と栄養外胚葉の状態からそれぞれA〜Cの3段階のスコアをつける方法です。
①胚盤胞の発達段階
初期胚盤胞:
胚盤胞腔が胚容積の50%未満
胚盤胞:胚盤胞腔が胚容積の50%以上
完全胚盤胞:胚盤胞腔が完全に胚を満たす
拡張胚盤胞:胚盤胞腔容積がさらに拡張し、透明帯が薄くなりつつある
孵化
孵化後胚盤胞:胚が完全に透明帯から脱出したもの
②内部細胞塊(将来赤ちゃんになる細胞)が
胚盤胞腔内に占める割合で多いものほどよい
細胞同士が密に接し、細胞数が多い
細胞同士の接着が粗で、細胞数が少ない
細胞数が非常に少ない
③栄養外胚葉
細胞数が奥、互いに接着した上皮を形成している
細胞数が少なく、割合が粗な上皮を形成している
数少ない大きな細胞が上皮を形成している
Step.6
胚移植は現在、次の2つの方法で行っています。1つは細いチューブ内に胚を入れて、子宮口からあらかじめ計測していた子宮内へ入れる方法です。普通の内診と同じ体位で痛みもほとんど感じません。原則ほとんどはこの方法で行います。もう1つの方法は、経子宮筋層子宮内移植法です。採卵の時と同じように超音波診断装置で子宮内を見ながら、針を子宮に穿して針先が子宮内膜に入った事を確認して、チューブ内に入れた胚を針先から注入します。麻酔は使いませんので一瞬の痛みは感じますが、すぐに終わります。スムーズに胚を子宮内に戻す事が最も大切です。どちらの方法をとるかは医師が判断します。
With IVF
大阪New ARTクリニックは、1997年の開院以来、生殖医療を専門に携わってきました。その間、体外受精の技術は大きく進歩しました。当院では、新しい技術を取り入れるだけでなく、変わるべきものは進化させ、変えてはいけないものは守り続けてきました
1997
大阪NewARTクリニック開院
世界で体外受精や顕微授精が急速に発展していた1997年、大阪New ARTクリニックは大阪・西梅田に不妊治療専門施設として開院しました。
同年、緩慢凍結法から、ガラス化法へ ガラス化法(Vitrification法)が開発され、大阪New ARTクリニックでも、ガラス化法をいち早く導入し、長年にわたり凍結・融解技術を積み重ねてきました。
私たちの未来
これまで30年、大切にしてきたその姿勢を、これからも受け継いでいくこと。 それが、私たちの考える未来です。 新しい技術を取り入れるときも、新しい選択肢を考えるときも、判断の中心にあるのは、いつも患者さん一人ひとりの人生です。
広げるのではなく、深めていく。速く進むのではなく、確かな根を張り続ける。 大阪NewARTクリニックは、これからも、一人ひとりに必要な医療を見極めながら、命が生まれる可能性と、その先の人生に向き合い続けます。