【第1回】電話帳の時代から、もう一度ホームページを作るまで
皆さま、こんにちは。大阪New ARTクリニック院長の富山 です。
今回、当院のホームページを約10年ぶりに大きく刷新することになりました。
新しいホームページを作りながら
- どのような情報を掲載すればよいのか
- 当院の治療方針をどうすれば正確に伝えられるのか
を、あらためて深く考える機会となりました。
今回は第1回として、当院の情報発信の歩みと、今回ホームページをリニューアルするに至った想いをお話ししたいと思います。
1本の電話から始まった「不妊電話相談」の時代

※大阪HARTクリニックは、大阪New ARTクリニックの開院当時の病院名です。
私が大阪New ARTクリニックを開業した約30年前は、メールやインターネットはまだ一般的ではありませんでした。患者さんからの問い合わせや連絡は、ほとんどが「電話」だった時代です。
医療機関が情報を発信する手段も限られており、「電話帳のどの地域に、どのような内容で広告を掲載するか」を考えていた時代でした。
その頃、私は「不妊電話相談」を始めました。週に一度、電話で不妊治療に関するご相談を直接お受けする取り組みです。
当時は、今以上に不妊治療について気軽に相談できる場所がありませんでした。
- 治療を受けるべきか分からない
- 家族や友人にも話しにくい
- 近くに専門の医療機関がない
このような深い悩みを抱えながら、誰にも相談できずにいる方が大勢いらっしゃったのです。
この取り組みは新聞などでも取り上げられ、記事が掲載されたあとは、相談の電話が鳴りやまないほどの反響がありました。一本の電話を通して悩みを聞き、必要な情報をお伝えする——それが、当時の私たちにできる最大限の情報発信でした。
インターネットの普及と「不妊メール相談」への進化
その後、医療機関でもホームページが作られるようになり、当院も試行錯誤しながら最初のホームページを開設しました。
それに伴い、電話だけでなくインターネットを通じてもご相談いただけるよう、「不妊メール相談」を開始しました。
時代に合わせてホームページを何度かリニューアルし、掲載内容も更新してきましたが、やがて医療情報サイトや口コミ、SNSなどが急速に増えていきました。
「患者さんはクリニックのホームページをそれほど見ていないのではないか……」
そう考えるようになり、ここ10年ほどは大きな更新を行わずにいたのです。
情報過多の時代に、私たちが情報を発信する理由
しかし、この10年の間に不妊治療を取り巻く環境は劇的に変化しました。
- 体外受精の保険適用スタート
- 生殖医療を行うクリニックの増加
- ネットやSNS上の膨大な情報
情報が増えたことで、不妊治療について知る機会は確かに増えました。しかしその一方で、「どの情報が正しいのか」「それが自分にも当てはまるのか」がかえって分かりにくくなった面もあると感じています。
そして何より、私たち自身が発信しなければ、大阪New ARTクリニックがどのような考えで治療を行っているのかを、患者さんに正しく知っていただくことはできないと痛感したのです。
時代が変わり、情報を届ける手段が電話帳から電話相談、そしてホームページやメールへと変わっても、「患者さんが抱える不安」や「信頼できる正しい情報を知りたいという思い」は昔も今も変わりません。
そう思い直し、今回約10年ぶりの大改修に踏み切りました。
ホームページ制作を通して見えてきたこと
実際に制作を始めてみると、単に「治療内容」を並べるだけでは、当院の想いや考えを十分に伝えきれないことに気づきました。
- 妊娠成績をどのように示すべきか
- 治療費をどこまで詳しく掲載すべきか
- 長年の臨床経験の中で大切にしてきたことを、どのような言葉で伝えるか
考えなければならない課題が数多くありました。
この院長コラムでは、今回のホームページ制作を通してあらためて考えたことや、長年生殖医療に携わるなかで感じてきたことを、私自身の言葉でありのままにお伝えしていきたいと思っています。