木漏れ日の影

学会発表・論文発表

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当院における媒精25時間後の分割数の検討

2008年

第49回日本哺乳動物卵子学会 (2008.5.17-18 名古屋)

大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター

橋口 綾乃、横田 麻里子、小泉 あずさ、福富 紀子、宮田 広敏、松葉 純子、富山 達大

目的

初期胚での良好胚の選択の目安として、前核のスコアリングや、分割数、fragmentationの割合、分割球の均等性、多核割球の有無など、さまざまな評価方法がある。そして、早期分割(Early cleavage :EC)も良好胚選択の基準として有用と言われている。 当院でも媒精およびICSIから25時間後に分割の有無を確認し、良好胚選択の目安の1つとしている。しかし中には早期分割確認時に3細胞以上に分割が進んでいるものも見られる。そこで今回、それらの胚の発育およびART結果が、媒精25時間後に2細胞であった胚や未分割であった胚と異なるかどうかを検討した。

方法

2004年1月から2007年12月までの間に当院にてIVFおよびICSIを行った症例のうち、媒精およびICSIから25時間後に、早期分割の有無と細胞数を確認した周期を対象とした。早期分割確認時の細胞数により、1細胞群、2細胞群、3細胞以上群に区別して培養し、Day3に8細胞以上へ発育した割合、Day5に胚盤胞へ発育した割合を比較した。 各群の割合および妊娠率の比較については、早期分割確認時に、1細胞であった胚のみを移植した群(1細胞群)、2細胞胚を少なくとも1個移植し、3細胞以上の胚を移植しなかった群(2細胞群)、3細胞以上胚を少なくとも1個移植した群(3細胞以上群)について比較した。

結果

媒精およびICSIの25時間後に分割確認を行った周期数は1053周期であった。各群の割合は、1細胞群492周期(46.7%)、2細胞群506周期(48.1%)、3細胞以上群55周期(5.2%)であった。 1細胞群、2細胞群、3細胞以上群の平均年齢はそれぞれ36.6歳、36.0歳、35.0歳。IVF回数はそれぞれ2.7回2.0回、1.8回で、年齢と平均IVF回数は1細胞群が高く、次いで2細胞群、そして3細胞以上群と低くなる傾向にあった。平均移植胚数はそれぞれ1.8個、1.9個、1.7個で有意な差は見られなかった。 Day3に8細胞以上へ発育した割合は、1細胞群38.1%、2細胞群48.0%、3細胞以上群39.3%で、2細胞群において8細胞以上へ発育した割合が、1細胞群に比べて有意に高かった。 Day5に胚盤胞へ発育した割合は、1細胞群37.1%、2細胞群58.4%、3細胞以上群27.1%で、2細胞群において胚盤胞へ発育した割合が、他の2群に比べて有意に高かった。 妊娠率の比較においては1細胞群では21.4%、2細胞群では32.7%、3細胞以上群では5.0%であった。最も妊娠率が高かったのは2細胞群で、次いで1細胞群、そして最も妊娠率が低かったのは、3細胞以上群で、各群の間に有意な差を認めた。

結論

媒精およびICSIから25時間後に2細胞に発育していた胚は、Day3に8細胞以上へ発育した割合、Day5に胚盤胞へ発育した割合、および妊娠率は、いずれも他の2群より高く、良好な胚であると考えられた。しかし、3細胞以上へ分割が進んだ胚は、いずれのパラメーターも低い傾向を示し、特に妊娠率においては他の2群より大きく低下していた。 今回の検討で、媒精およびICSIの25時間後の早期分割の有用性はもとより、その分割数を胚移植時に胚選択の指標とすることは有用であると考えられた。