学会発表・論文発表

2020年 第65回日本生殖医学会(2020.12.3-4 WEB)

K-systemを用いたc-IVF成績比較

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

原武 佑樹伊藤 小百合岩瀬 寛子武内 莉夏玉田 若菜美吉本 哲也富山 達大
  • 背景

    日常的に情報通信機器を利用する現代社会において、機器から発生する電磁波が生殖能へ影響するという研究が散見される。ベンチトップインキュベーター内のチャンバー加温により通常発生する電磁波を打ち消し、より自然に近い培養環境提供が期待されるG210 InviCell (K-system:Origio)を導入したが、タイムラプスインキュベーターが主流となっている現在、導入している施設は少ない。今回、電磁波を打ち消す磁場キャンセリングシステムを搭載するK-systemが胚に与える影響を後方視的に検討した。

  • 期間および対象症例

    当院のc-IVFは媒精19時間後までインキュベーターで培養し受精判定を行った後、Embryo Scope+(Vitrolife)に移し、培養を行っている。今回、2017年11月から2018年7月までに加湿型インキュベーター(BT37)で培養した受精成績(以下B群)と2018年8月から2020年4月までにドライインキュベーター(K-system)で培養した受精成績(以下K群)を比較した。尚、精子調整液比較試験を行った期間は対象外とした。

  • 結果

    c-IVF群のB群とK群の受精成績はそれぞれ2PN率(68.1% vs 73.2%)、1PN率(5.1% vs 4.5%)、3PN率(6.2% vs 5.9%)、0PN率(20.0% vs 15.9%)、分割胚率(0.6% vs 0.5%)となり、K群で0PN率が有意に低下し(p<0.01)、2PN率が有意に増加した(p<0.01)。

  • 考察

    Ksystemでの培養結果から電磁波による卵子および精子への影響が示唆された。今後、チャンバー加温による発生する電磁波の精子運動性への影響も検討したい。