体外受精:AHA(アシストハッチング)

AHA(透明帯開孔)法について

人の着床のメカニズムについては、まだほとんど判っていませんが、良い受精卵を子宮に戻してもなかなか着床(妊娠)しない方のための治療技術です。

体外受精を行い受精した4~8分割の胚を子宮内に戻すと、3~4日後には胚盤胞まで成長し、最終的には胚の殻(透明帯)を破って(溶かして)、中の胚が子宮内膜に進入してきます。そして子宮内膜の状態が十分に着床の準備をしていると着床(妊娠)が成立すると考えられています。

体外受精を行う方の中には、卵の透明帯が硬かったり、厚いと言われ、また年齢の高い人程その傾向があると指摘されるようになりました。透明帯が硬かったり、厚かったりしますと透明帯を破る(溶かす)のに時間がかかります。子宮内膜に進入するタイミングが遅くなりますと、子宮内膜はすでに着床の準備を止めてしまいますので、せっかく子宮内膜に進入しても着床しないと言われます。そこで考えられたのがAHA法です。このようにAHA法が適応となる方々に対しては有効な方法で、当クリニックでもすでに2000名を超える元気な赤ちゃんが誕生しています。

大阪New ARTクリニックのAHA法

当クリニックの顕微授精の技術を使い4~8分割となった胚を移植する直前に透明帯に20~40ミクロンの孔を開けるのです。(従来法)そうすることで子宮内に戻した後、胚は透明帯を破りやすくなり、着床も早めに起こり妊娠率が良くなっています。

透明帯を傷つけることに不安があるかと思いますが、透明帯はいずれ溶けてなくなるもので、赤ちゃんの一部とはなりません。
また近年、微細な操作が精確に行えるレーザーを使用する装置が開発されました。当院では、2004年よりこの方法も導入しています。

レーザー使用による方法
AHA前 AHA後

レーザーを導入する事により、胚にダメージを与えずAHA法を行う事がより容易に行えるようになりました。
AHA法は基本的には4~8分割の胚に行います。胚盤胞まで成長した場合はAHA法にて透明帯に穴を開けるスペースが無いためAHA法は行いません。凍結胚盤胞の場合に限り、凍結胚盤胞が融解後収縮している間にAHA法を行います。
AHA法が有効かどうかに関しては様々な報告があり、今後も検討が必要です。適応とAHAの方法を検討する必要があり、AHA法を行うかどうかは主治医が判断します。