学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2009.11.22-23 金沢)

ICSIにおける卵丘細胞との共培養の検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

松葉 純子福富 紀子小泉 あずさ横田 麻里子橋口 綾乃日貝 千春炭谷 美保宮田 広敏富山 達大
  • 目的

    2007年の本学会にて、我々はICSI症例において卵丘細胞との共培養を行うことにより、共培養を行った群と行わなかった群を比較した時、初期分割率と胚盤胞到達率が有意に上昇し、凍結胚も増加したと報告した。共培養を行うことにより移植胚の選択肢が増え、採卵あたりの妊娠率が上昇するのではないかという結論に至った。そこで今回は共培養を行った症例の移植後の成績について検討したので報告する。

  • 方法

    ICSIにおける卵丘細胞との共培養の効果について調べるため、共培養を行った2007年9月~2009年3月までの90周期(共培養群)と、共培養を行っていなかった2005年3月~2006年12月までの57周期について受精率、胚盤胞到達率、妊娠率を比較した。どちらの群でも40歳未満、採卵回数5回以下、採卵数10個以上の周期を対象とし、ICSI実施者は同一とした。共培養群では裸化処理前に卵丘細胞をカットして保存しておき、ICSIより24~26時間後の早期分割確認時まで共培養を行った。

  • 結果

    受精率では両群間に有意な差は認められなかったが(57.3% vs. 54.4%)、胚盤胞到達率にて共培養群が有意に上昇した(40.0% vs. 28.3%:p<0.01)。また、新鮮胚移植周期における妊娠率には差は認められなかった(24.6% vs. 20.0%)。しかし余剰胚を凍結し、その後の凍結胚移植周期を含めた採卵あたりの妊娠率については、共培養群が有意に上昇した(37.0% vs. 22.8%;p<0.05)。

  • 結論

    共培養を行うことにより、ICSI胚の胚発育が改善した。その結果、採卵あたりの移植回数が増え、採卵あたりの妊娠率が上昇した。