日本生殖医学会(秋田)
培養5日目桑実胚の着床の可能性
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
小泉 あずさ福富 紀子松葉 純子宮田 広敏横田 麻里子梶原 慶子橋口 綾乃富山 達大
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目的
近年、我々は胚盤胞移植により良好な妊娠率を得ることが可能となった。しかし、Day5に胚盤胞まで発育せず桑実胚しか得られない症例も度々みられ、これらの発育遅延胚はDay5に胚盤胞まで発育した症例に比べ臨床成績が低い。この妊娠率の低下は胚の質によるためと考えられるが、子宮内膜の受容性の非同期性によるものとも考えられる。そこで、今回、凍結胚盤胞移植によって胚の成長速度と子宮内膜を同期化した周期と新鮮胚移植周期の臨床成績について比較を行い、培養5日目桑実胚の着床の可能性を後方視的に分析したので報告する。
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方法
2002年7月~2007年3月までに当院において、Day5に桑実胚の新鮮胚移植を行った18症例とDay5に桑実胚を凍結保存し、次周期以降に凍結融解胚移植を行った10症例について妊娠率、着床率を比較した。Day5に凍結を行った桑実胚は移植日の前日に融解し、移植当日に胚グレードを評価した。
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結果
凍結融解胚の生存率は95.2%、胚盤胞への発育率は71.4%であった。新鮮胚移植を行った18症例の妊娠率は5.6%、着床率は4.0%であったのに対し、凍結融解を経て移植を行った10症例の妊娠率は50%、着床率は35.3%と妊娠率、着床率ともに有意に高かった(P<0.01)。
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結論
Day5桑実胚の中には凍結融解胚移植を行い胚の発育と子宮内膜を同調させることによって着床可能な胚が存在することが明らかとなった。