学会発表・論文発表

2018年 第63回日本生殖医学会(2018.9.6-7 旭川)

当院における患者年齢と移植胚数に関する検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

森本 有香松葉 純子細川 由起原武 佑樹富山 達大
  • 目的

    今回我々は当院において患者年齢と移植胚数について比較検討した。

  • 方法

    2012年1月から2017年7月までの期間、当院にてIVFまたはICSIを施行し、培養2日目または3日目にて1個または2個移植を行った29~42歳の患者、1096名1357周期を対象とした。患者年齢を29~34歳、35~38歳、39~42歳の3群に分類し、移植個数と妊娠率を比較した。また、同期間において凍結胚盤胞移植を行った患者856名2577周期についても同様に比較を行った。さらに、妊娠群と非妊娠群に分類し、患者背景、移植胚グレードを比較した。

  • 結果

    新鮮分割胚移植の妊娠率は、単一胚移植においては29~34歳群が29.3%、35~38歳群が22.0%、39~42歳が9.3%であった。2個移植ではそれぞれ22.7%、21.1%、18.7%であり、39~42歳群でのみ2個移植が単一胚移植より妊娠率が有意に上昇した(p<0.01)。凍結胚盤胞移植の妊娠率は、単一胚移植においては29~34歳群が32.3%、35~38歳群が28.1%、39~42歳群が16.6%であった。2個移植ではそれぞれ34.7%、25.2%、24.8%であり、39~42歳群において2個移植が単一胚移植より有意に上昇した(p<0.01)。さらに患者背景、移植胚グレードとの比較において、新鮮単一分割胚移植ではIVF回数と子宮内膜厚、移植胚グレード、凍結単一胚盤胞移植では不妊原因と移植胚グレードにおいて有意差が認められた(p<0.01)。

  • 結論

    38歳以下の患者において、単一胚移植と2個移植に有意差が認められなかったことから、単一胚移植を行うことが望ましい。しかし、35~38歳においては、新鮮胚移植では患者背景、凍結胚移植では移植胚のグレードを考慮し移植胚数を決定する必要があることが示唆された。