学会発表・論文発表

2018年 第63回日本生殖医学会(2018.9.6-7 旭川)

ヒト胚の発生速度と性比の関係

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

松葉 純子細川 由起森本 有香原武 佑樹森田 真由子吉川 葵尾崎 耕富山 達大
  • 目的

    胚の発生速度と性比との関係について、マウスやブタなどの哺乳動物では発生が早い胚はオスである確率が高い事が報告されている。ヒトにおいても発生の早い胚が男児となる傾向があると報告されている。今回IVF-FET後にえられた産児の性比と胚の発生速度の関係について調べた。

  • 方法

    2004年から2016年の期間、当院IVF-FETにて単胎妊娠後、出産に至った産児201人を対象とした。胚凍結は媒精後98時間(Day4)、115時間(Day5)、139時間(Day6)に行い、Day4にて胞胚腔の形成がある胚を凍結し、桑実胚以下の胚はDay5またはDay6に凍結した。その後FETを行い、出産に至った産児をDay4、Day5,6凍結群に分け、それぞれ男児率を女児率と比較した。次にDay4またはDay5,6時の胚発生段階ごとに産児の性比を比較した。

  • 結果

    Day4凍結での産児は89人、Day5,6凍結での産児は112人であった。Day4凍結産児は男児62.9%、女児37.1%であり、男児率が女児率よりも有意に上昇した(p<0.01)。Day5,6凍結産児は男児率51.8%、女児率48.2%で有意な差はなかった。
    Day4時の発生段階ごとに性比を調べた結果、分割胚から桑実胚までは性比に有意な差はなかったが、胞胚腔の形成がある胚は男児率が女児率よりも有意に上昇した(p<0.05)。Day5,6時ではどの発生段階でも有意な差はなかった。

  • 結論

    IVF-FET症例において媒精98時間後に胞胚腔の形成が見られる胚は男児である確率が女児よりも有意に高いことが示唆された。