学会発表・論文発表

第62回日本生殖医学会(2017.11.16-17 下関)

精子調整液の違いが胚発生に与える影響

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

原武 佑樹松葉 純子細川 由起森本 有香松原 健一安部 珠実仲谷 和子富山 達大
  • 目的

    精子調整液が精子の機能亢進や低下に関係すると報告されている。今回、異なる2種類の調整液で処理をした精子を用いて媒精を行ない、その後の受精、胚発生について検討を行なった。

  • 方法

    IVF188周期およびICSI206周期を対象とし、Percoll®を使用した従来群とOrigio® Gradient Series™を使用したOGS群での成績を比較した。

  • 結果

    IVF周期における従来群とOGS群の正常受精率は各59.7%、67.9%、分割率は各98.4%、98.6%、多精子受精率は各5.4%、5.9%、発生遅延胚率は各11.2%、8.1%、胚盤胞発生率は各54.8%、53.9%であり、OGS群で受精率は有意に上昇し(p<0.01)、発生遅延胚率は有意に低下した(p<0.05)。ICSI周期における従来群とOGS群の正常受精率は各69.0%、70.6%、分割率は各98.5%、97.8%、発生遅延胚率は各13.7%、15.0%、胚盤胞発生率は各48.5%、46.7%であり、ICSI周期における両群間に有意な差は認められなかった。

  • 考察

    IVF周期においてOrigio® Gradient Series™が精子の運動性および機能に正の影響を与える可能性が示唆され、特に受精率が有意に高くなったことで胚盤胞獲得数は増加すると考えられた。一方で、ICSI周期において両群間で有意な差は見られなかったことより精子調整液の違いによる影響はないことが示唆された。