日本生殖医学会(2014.12.4-5 東京)
凍結保存期間が生存率、臨床妊娠率、出生体重に与える影響
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
単一胚移植の推奨による余剰胚の凍結で凍結融解胚移植を行なう症例が増えている。保存期間による胚や出生児への影響の検討が論文で散見され、当院においても凍結融解胚盤胞移植を行なった周期での胚の生存率、臨床妊娠率および出生児の体重に凍結保存期間が影響するかを後方視的に検討した。
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方法
2009年から2013年の期間にて凍結融解胚盤胞移植を行なった175周期を対象とした。保存期間を3ヶ月未満、3ヵ月-1年、1-2年、2-3年、3-4年、4年以上の群に分類し(以下順にA~F群とする)、各群における胚の生存率、臨床妊娠率、出生児の平均体重を比較した。次に保存期間1年以上の患者(C~F群)について保存期間中の妊娠出産の有無を調査した。
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結果
生存率はA:100%(45/45)、B:100%(45/45)、C:100%(34/34)、D:100%(46/46)、E:97.0%(32/33)、F:100%(15/15)であった(n.s.)。臨床妊娠率はA:30.6%(11/36)、B:27.8%(10/36)、C:16.0%(4/25)、D:25.0%(10/40)、E:15.4%(4/26)、F:33.3%(4/12)であった(n.s.)。出生体重はA:3206±351g(10例)、B:2977±391g(8例)、C:3384±484g(3例)、D:3053±542g(7例)、E:2919±291g(3例)、F:2716±470g(2例)であった(n.s.)。F群は2例が出産、2例が妊娠継続中であり、そのうちの1例は当院における最長保存胚(8年)を融解移植した周期であった。保存期間内に出産した患者はC:65.2%(15/23)、D:96.2%(25/26)、E:100%(19/19)、F:90%(9/10)であった。