学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2014.12.4-5 東京)

Day3における移植胚の選択に関する検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

森本 有香松葉 純子横田 麻里子炭谷 美保細川 由起大原 知子原武 佑樹得丸 倭佳富山 達大
  • 目的

    Day3において既に桑実胚まで発生している胚は、分割胚と比較して妊娠率が高いという報告がある。しかし一方で発生の速い胚は染色体異常が多いという報告もある。そこで我々はDay3桑実胚の移植の可否を調べるため、桑実胚と8cell胚の胚盤胞到達率と妊娠率を年齢別に検討した。

  • 方法

    2010年1月から2014年1月の期間に当院にてIVFを実施した638症例770周期を対象とした。そのうちDay3の時点で桑実胚に発生した胚(以下comp群)と、コントロール群として8cell胚(以下8cell群)の胚盤胞到達率と単一移植胚の妊娠率を全年齢で比較した。次に両群を患者年齢38歳未満と38歳以上でそれぞれ分類し、胚盤胞到達率、妊娠率を比較した。

  • 結果

    全年齢での胚盤胞到達率はcomp群65.7%(88/134)、8cell群77.5%(934/1205)でcomp群が有意に低かった(p<0.01)。妊娠率はcomp群26.7%(4/15)、8cell群26.8%(55/205)で両群に有意な差はなかった。次に両群を38歳未満、38歳以上に分類し、胚盤胞到達率を比較した結果、38歳未満のcomp群70.9%(59/82)、8cell群80.5%(669/831)で両群に有意な差はなかったが、38歳以上のcomp群55.8%(29/52)、8cell群70.9%(265/374)でcomp群が有意に低かった(p<0.05)。妊娠率は38歳未満のcomp群42.9%(3/7)、8cell群26.5%(45/170)、38歳以上のcomp群12.5%(1/8)、8cell群28.6%(10/35)であり、共に両群に有意な差はなかった。

  • 結論

    全年齢で比較した結果、妊娠率に差は無かったが、桑実胚で胚盤胞到達率が有意に低かった。両群を年齢で分類し比較した結果、38歳以上では桑実胚で同様に胚盤胞到達率が有意に低かったが、38歳未満では胚盤胞到達率、妊娠率共に両群で有意な差はなかった。以上の結果から、Day3の桑実胚を移植する際には年齢を考慮する必要があることが示唆された。