日本生殖医学会(2010.11.11-12 徳島)
凍結融解胚盤胞の回復率は年齢に影響するか?
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
凍結融解胚盤胞のうち、形態良好胚盤胞でも凍結融解後回復が不良な胚盤胞が存在する。そこで今回、凍結融解単一胚盤胞移植(SBT)を行った症例において回復不良胚盤胞率と妊娠率の関係を後方視的に検討した。
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方法
2002年7月から2010年5月の間に培養5日目に凍結しSBTを行った299周期を対象とした。≪検討1≫形態良好胚盤胞(Gardnerの分類にて3BB以上)を凍結融解した202個を対象とし、融解2時間後の回復不良胚盤胞率(凍結時の評価より2ステージ以上下がる又はICM、TE共にスコアが下がった胚盤胞の割合)および回復不良胚盤胞を移植した周期の妊娠率を年齢別に(A)29歳以下、(B)30~34歳、(C)35~39歳、(D)40歳以上の4群に分け比較した。≪検討2≫形態不良胚盤胞を凍結した97個を対象とし、≪検討1≫と同様に比較した。
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結果
≪検討1≫回復不良胚盤胞率はD群(26.3%;5/19)が他の群(A 0%;0/16、B 6.1%;5/82、C 10.6%;9/85)に対し有意に高かった。回復不良胚盤胞を移植した周期の妊娠率はB:20.0%(1/5)、C:22.2%(2/9)、D:0%(0/5)で有意差はなかったが、D群では妊娠は認められなかった。
≪検討2≫回復不良胚盤胞率はA:23.1%(3/13)、B:11.8%(4/34)、C:10.3%(4/39)、D:18.2%(2/11)で有意差は無く、回復不良胚盤胞を移植した周期の妊娠は認められなかった。 -
結論
形態良好胚盤胞の回復不良胚盤胞率は40歳以上で影響を受けやすいことが示唆された。形態不良胚盤胞の回復不良胚盤胞率は年齢による影響は受けにくいと考えられる。