学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2009.11.22-23 金沢)

早期分割確認時の前核胚に関する検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

横田 麻里子福富 紀子松葉 純子小泉 あずさ橋口 綾乃日貝 千春炭谷 美保宮田 広敏富山 達大
  • 目的

    当院では移植胚選択基準の一つに早期分割(Early Cleavage:EC)の有無を判断している。早期分割胚についてはその後良好胚へ発育することが知られているが、分割しなかった残りの1細胞胚についてはあまり知られていない。これら1細胞胚に着目すると、前核(PN)が継続している胚とPNが消失している胚が観察されることがある。そこでこのようなPN持続胚とPN消失胚とでは発育に違いが見られるのかどうかを検討したので報告する。

  • 方法

    2009年2月から2009年5月までに当院にて体外受精(IVF)を行い、ECを確認した76周期(155個)を対象とした。EC確認時、分割していた胚(2C群:57個)、分割していない1細胞胚をPNが消失している胚(PN無群:48個)とPNが継続している胚(PN有群:50個)の3群に分類して、Day3での良好胚獲得率(Good:7~9cell)および不良胚率(Poor:7~9cell以外)を検討した。

  • 結果

    Day3良好胚獲得率では、PN有群が他の2群と比べて有意に低く(2C:54.5%a、PN無:43.6%b、PN有:15.9%ab a.b;p<0.01)、またDay3不良胚率ではPN有群が他の2群と比べて有意に高くなり(2C:45.5%c、PN無:56.4%d、PN有:84.1%cd c.d;p<0.01)、統計学的に有意差が見られた。

  • 結論

    今回の検討から、EC確認時にPNが確認できる胚は、早期分割胚またはPNが消失している胚と比べて分割期においては良好胚を獲得しにくいことが示唆された。