日本生殖医学会(神戸)
当院における早期分割確認時の細胞数の検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
当院では胚選択の基準の一つに早期分割(Early Cleavage:EC)の確認を行っている。EC確認時に3細胞以上であった胚の発育、妊娠率を1細胞や2細胞であった胚と比較した。
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方法
2004年1月から2008年3月の間に体外受精を行った症例のうち、インフォームドコンセントを得てECを確認し、1細胞胚、2細胞胚、3細胞以上胚に区別して培養したIVF535周期、ICSI413周期を対象とした。これらの胚におけるDay3の8細胞胚への発育率及びDay5の胚盤胞到達率を比較した。また1細胞胚のみを移植した周期(1細胞群)、2細胞胚を1個以上移植した周期(2細胞群)、3細胞以上胚を少なくとも1個移植した周期(3細胞以上群)で妊娠率を比較した。
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結果
1細胞群、2細胞群、3細胞以上群は各々、8細胞胚への発育率がIVF:9.8%、32.4%、28.8%、ICSI:11.6%、37.3%、 37.9%で1細胞群が他の2群に比べて有意に低かった(P<0.05)。初期胚移植の妊娠率はIVF:21.6%、34.7%、0.0%、 ICSI:12.3%、24.3%、0.0%で各群の間に有意な差がみられた(P<0.05)。胚盤胞到達率はIVF:40.9%、60.3%、 30.2%、ICSI:26.7%、55.9%、20.0%で2細胞群が他の2群に比べて有意に高かった(P<0.05)。胚盤胞移植の妊娠率は IVF:37.3%、41.1%、10.0%、ICSI:33.3%、41.4%、0.0%で3細胞以上群と他の2群の間に有意差がみられた (P<0.05)。
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結論
EC確認時の細胞数を、形態学的評価に加えて胚選択の指標とすることは有用であると考えられた。