日本生殖医学会(神戸)
当院における移植胚選択基準の検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
福富 紀子宮田 広敏小泉 あずさ横田 麻里子橋口 綾乃日貝 千春富山 達大
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目的
近年、単胚移植が主流となる中、1個の良好胚を厳選する明確な選択基準が必要である。そこで今回、移植胚選択基準の検討を行ったので報告する。
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方法
2004年1月から2008年3月までに当院にて培養3日目胚を移植した185周期(Day3ET周期)、培養5日目の胚盤胞を移植した247周期(Day5ET周期)を対象とした。対象周期をearly cleavage(EC)のみ移植したEC群と、EC胚が移植胚に含まれないNEC群に分けて、さらに培養3日目の良好胚を8細胞、培養5日目の良好胚を 3BB以上とし、良好胚か不良胚かに分けて着床率を検討した。
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結果
Day3ETにおいて、EC群で良好胚を移植した周期の着床率は32.8%、NEC群で良好胚を移植した周期では14.5%であり、EC群のほうが着床率は有意に高かった。Day5ETにおいて、EC群で良好胚を移植した周期の着床率は36.7%、NEC群で良好胚を移植した周期は37.8%と、同等な着床率であった。また、EC群で不良胚しか移植できなかった周期の着床率は11.8%であり、NEC群で良好胚を移植した着床率より有意に低かった。
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結論
初期胚移植において、良好胚を移植する際にEC胚の方が着床率は有意に高いことから、胚選択基準としてECを考慮すべきと考えられた。一方、胚盤胞移植において、良好胚を移植する際にECの有無は着床率に関与しないことから、胚選択は形態学的基準に基づいて行われるべきと考えられた。