日本生殖医学会(大阪)
凍結胚盤胞移植周期におけるLaser Assisted Hatchingの有効性についての検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
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目的
Assisted Hatching(以下AH)は補助孵化法として、高年齢群、反復不成功例、特に凍結胚移植周期などの症例に施行されてきた。また、レーザーを用いることにより、様々な方法のAHが可能となった。当院でも凍結胚盤胞移植周期で積極的にAHを行っており、妊娠率の上昇が見られた(37.1%v.s.53.1%,p<0.05)。今回AHの有効性を透明帯の周囲1/3を非薄化する1/3Thinning法と、透明帯の一箇所のみを完全に開口するZona drilling法で比較し、妊娠率、翌日のHatching率について検討を行った。
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対象及び方法
2005年8月から2006年5月まで、インフォームドコンセントの上、当院にてDay4凍結胚移植を行った72周期(1/3Thinning法:28周期、Zona drilling法:44周期)を対象とした。両方法で患者背景に有意な差は認められなかった。当院の Day4凍結胚移植は培養4日目胚を凍結し、融解した際にAHを行い移植は翌日のDay5に行っている。よってHatching率は移植時の培養5日目に観察した。
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結果
妊娠率は1/3Thinning法では35.7%(10/28)、Zona drilling法では 38.6(17/44)で有意な差は認められなかった。しかし、培養5日目のHatching率では/3Thinning法で50.0%(21/42)であったのに対し、Zona drilling法では70.2%(52/74)で有意に上昇した。(p<0.05)
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結論
1/3Thinning法とZona drilling法で妊娠率に差は認められなかったものの、Hatching率ではZona drilling法で有意に上昇した。しかし、妊娠率に差が認められなかったことより、両方法間でHatching時期に差があるのではないかと考えられた。