日本不妊学会 (熊本)
Universal IVF mediumの有効性についての検討
大阪New ART クリニック
New ART リサーチセンター
馬場 聖子宮田 広敏福富 紀子松葉 順子泉 あずさ横田 麻里子富山 達大
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目的
近年体外受精に使用される培養液が数多く開発され、その有用性については様々な検討がなされている。その多くは、受精後の胚の培養に関するものであるが、今回我々は特に受精の段階に着目した。現在HTFを用いて媒精を行っているが、Medi-Cult社の Universal IVF medium(以下UM)を用い、受精率及びその後の胚発育を比較検討した。
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方法
2005年2月26日から6月13日までに当院にてIVFを行った54周期を対象とした。媒精は2時間媒精で行い、受精後の卵の培養はMedi-Cult社のBAS1,BAS2を用いて行った。採卵後の同一周期の卵を無作為にHTFグループとUMグループに分け、受精率とその後の胚発育の評価として媒精後25時間で分割が見られた割合(以下Early CLeavage率)、培養3日目の8cell率、5日目の胚盤胞率を比較した。
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結果
受精率、Early CLeavage率、培養3日目の8cell率、5日目の胚盤胞率はHTFグループではそれぞれ68.1%,34.2%,23.2%,45.8%,UMグループではそれぞれ73.9%,31.8%,23.5%,47.0%となった。また、HTFでの受精率が50%以下の症例(平均受精率28.3%)では、 UMを用いることにより平均受精率が54.8%となり有意に上昇した。(P<0.01)
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結論
HTFでの受精率が低い症例に対しては受精の段階でのUMの使用は有効であると考えられた。