学会発表・論文発表

日本受精着床学会(旭川)

分割胚移植と胚盤胞移植の適応に関する検討

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

宮田 広敏馬場 聖子大久保 美里吉野 千尋亀田 隆富山 達大
  • 目的

    現在では胚盤胞移植が多くの施設で行なわれ、高い妊娠率が得られるようになってきた。当院でも平成9年より胚盤胞移植に取り組み、良好な成績を得ている。しかし、分割胚移植と胚盤胞移植の適応に関しては明らかでない部分が多い。今回分割胚移植と胚盤胞移植の妊娠率を比較し、それぞれに適応となる症例について検討したので報告する。

  • 対象および方法

    2002年1月から2003年12月までに当院にて体外受精胚移植法を行った611周期を対象とした。培養液ではHTFおよびMedicult 社の  Brast Assist Systemを用い、6%CO2・5%O2・89%N2気相化で培養した。妊娠判定は採卵後16日目の尿中HCG陽性例を妊娠とした。

  • 結果

    conventional-IVFの妊娠率は分割胚移植で40.0%、胚盤胞移植で53.1%と両者の間に有意な差が認められた。(P<0.05)ICSIでは分割胚移植で23.5%、胚盤胞移植で29.0%と両者に有意な差は認められなかった。ICSIのうち男性因子では分割胚移植で32.4%、胚盤胞移植で24.0%と有意な差は認められなかったが、男性因子以外の妊娠率では分割胚移植で20.4%、胚盤胞移植で30.3%と有意な差が認められた。(P<0.05)

  • 考察

    男性因子においては卵子の状態に問題がある場合は少なく、分割胞で移植しても妊娠率は変わらなかったと推察される。このことより男性因子の症例は、分割胚移植でも胚盤胞移植でも同様の妊娠率が期待できると考えられる。それに対しconventional-IVFや男性因子以外のICSIにおいては、胚盤胞まで発育することを確認したうえで移植することは有用であると考えられた。