学会発表・論文発表

日本生殖医学会(2010.11.11-12 徳島)

新鮮胚盤胞移植時における不良胚盤胞の成績

大阪New ART クリニック

New ART リサーチセンター

松葉 純子福富 紀子小泉 あずさ横田 麻里子橋口 綾乃日貝 千春 炭谷 美保佐藤 暁子細川 由起富山 達大
  • 目的

    胚盤胞移植を行う際、当院では患者年齢、治療回数、そして胚盤胞のグレードを考慮に入れて移植胚数を決定している。良好な胚盤胞と不良な胚盤胞では着床能に差があると考えられるが、やむを得ず不良胚盤胞を移植した周期でも妊娠例は得られている。そこで、このような症例を分析し不良胚盤胞の着床能を後方視的に検討したので報告する。

  • 対象及び方法

    2004年から2010年3月までの期間で、インフォームドコンセントを得た後、当院にて新鮮胚盤胞移植を行った症例を対象とした。胚盤胞のグレーディングはガードナーの分類法を用いて行い、ICMとTEの両方にC判定を行った胚盤胞を不良胚とし、それら以外の胚盤胞を良好胚とした。その後、不良胚のみを移植した周期について移植胚数別、年齢別に分類し、妊娠率および多胎率について後方視的に検討した。

  • 結果

    不良胚のみを移植した周期(不良胚群)とそれ以外の胚盤胞を移植した周期(良好胚群)を比較した結果、不良胚群で妊娠率が有意に低下した(12.3% vs. 26.9%:p<0.01)。不良胚群で移植胚数別に比較すると、1個移植周期に対して2個以上移植した周期で妊娠率が有意に上昇し(6.3% vs. 19.8%:p<0.01)、両群に多胎妊娠は見られず、また良好胚を移植した際の妊娠率との有意な差は認められなかった。不良胚群のうち35歳未満の周期では1個移植周期よりも2個以上移植した周期で妊娠率が有意に上昇した(9.4% vs. 31.3%:p<0.05)。35歳以上の周期では妊娠率で有意な差は認められなかったものの、2個以上移植した周期で高い傾向があった(5.0% vs. 13.6%:n.s.)。いずれの年齢群においても多胎妊娠はみられなかった。

  • 結論

    2008年に日本産婦人科学会より発表されたガイドラインによると、移植胚数は原則1個、35歳以上または2回以上の反復不成功例においては2個移植を許容するとあるが、グレードCCのような不良胚盤胞を移植する際においても2個以上移植することで多胎妊娠率を上昇させることなく、妊娠率を上昇させることができるのではないかと考えられた。